今、私たち中小企業は何をしたら良いのか?その指針となる大きなテーマについて解説します。端的にお伝えするならば、【営業(集客)の設計図】を作ること、再設計することが大切です。単発行動での顧客開拓ではなく、今すぐ客だけを追い求めるのではなく、潜在客までを網羅した、継続的に長期的に顧客と関係性を築けるような仕組みを作ることを意識しましょう。
この記事でまとめていることは
■営業の設計図を再構築する
現状の営業を再考するにおいてこの2つの目標を明らかにしてください。
・自社の見込み顧客をどう増やすのか?
・1顧客あたりの受注金額をどう伸ばすのか?
ここを最終目標に置き、いち早く、営業(集客)の設計図=セールスプロセスを組むことをオススメします。
★ 集客の流れを水道管に例えるなら…
今までに実施していたこと
つぎはぎのパイプ状態。水流(集客導線)を弱めないように、
途中の水漏れを調べながら、強力なバンドで止めて応急処置をしていた。
よくある事例
・「紹介」に依存した事業体制のため自社で営業活動をコントロールしにくい
・新規受注に結び付ける見込み顧客の発掘、訴求方法が模索段階
・アプローチ後のフォローがない為、取りこぼしの見込み顧客が増加
→→結果的に悪循環に陥る。
↓↓↓
これから改善したいこと
水道管のパイプ設計図を作り、適切な道具を使ってパイプを組み替え、
勢いよく流しつつ、水漏れが発生しない構造に変える。
【営業(集客)の設計図―改善ポイント】
[基礎編]
- 訴求ターゲットを決める・絞る
- 訴求メディアを増やす
[実践編]
- セールスプロセスを組む
①2ステップ型アプローチの導入
②2つの商品の考え方を取り入れ、集中して集客/受注活動を実施
③継続フォローによる見込み顧客との関係性構築
[基礎編]●訴求ターゲットを決める・絞る
(みなさん、買ってください・来てください!)ではなく・・・どこのどういう状態の誰向けのものなのか?を明確に訴求する
〇各々リストのセグメントを徹底する
○見込み顧客の心情感情を知る
○狙うべくターゲットに合致するメッセージを用意する
社内に有るリスト(既存・休眠・見込み顧客)を各条件(企業の活動状態、業界業種、フォロー状況)によってセグメントし、
それに合致するメッセージ(コピーライティング)を用意しましょう。
例えば、「○○○で悩まれている社長経営者の方へ」というメッセージは広範囲でざっくりとした投げかけになりますが、これを改善して「△△業界の年商▼▼億円未満の売上に伸び悩む社長経営者の方へ」とすると対象となる人が限定されるようになります。より見込み顧客の悩みを深く分析できていればそこに提示するメッセージも具体的で、的を射たものになります。
法人営業であれば、同じ会社であっても、社長・部長クラス・部門担当者と伝えるメッセージも変えていくことが必要です。
誰のためのメッセージなのか、誰に振り向いてもらいたいのかを明確にするとよいでしょう。
◇具体的TODO◇
・条件の重なるリストのセグメント(業界業種、年商規模、従業員数、エリア、状況)
・合致する複数のコピーライティング原稿を用意(社長向け、部長向け、担当向け)
・メッセージはティザーコピーなど各々のリストに合致した「読まれる」工夫を凝らす
[基礎編]●訴求メディアを増やす
ターゲット属性、コスパを考えたメディア選定を
○ターゲット属性に合わせ、コスパを最大限検討した広告メディアを選定する
○WEB施策を十分に活用する
○オフラインアプローチとオンラインアプローチの融合が成果を生み出す
訴求メディアを増やすことを第一に検討しましょう。一つのメディアに依存し過ぎず、複数の施策を走らせましょう。
例えば、現状は業界専門のポータルサイトへの広告出稿をメインの集客施策とおいているが、予算に応じてリスティング(検索)広告、Facebook広告、動画訴求も取り入れて潜在客にさらにリーチできるように施策を増やす等です。他にも、今まで展示会などのリアルイベントに力を入れていた企業は、WEB広告を積極的に検討し、質の高い見込み顧客をどのように獲得するかを考えていくことが重要です。
またWEB施策に偏らずDMやFAX等のオフラインによるアプローチも重宝できるので同時に検討します。大切なことは広告費を抑えながらターゲットとなる見込み顧客に有効にリーチできるような体制をつくり、集客導線を複数用意して『営業ができない事態』を防ぐことです。
◇具体的TODO◇
・リーチを増やすためWEB広告運用ができる体制に。(まずはWEB・LP等の受け皿作りを。)
・DMやFAXなどのオフラインメディアによる集客施策も検討のステージに入れる(←ターゲット確定次第)
・+α、見込み顧客へ価値ある情報を提供できる自社コンテンツサイトを準備し、多くの広告費を使わなくとも集客できる導線を作る。同時にメルマガ、動画、音声、ニュースレターの充実化を図る。
[実践編]●セールスプロセスを組む
唐突な売り込みは、もう通用しない
見込み顧客の行動促進を促すためには相手が登れる小さなステップが必要
①2ステップ型アプローチの導入
「今すぐ客」を重点的にフォローする1ステップ型と今後の見込み顧客になり得る層を獲得して関係性を深めた上で提案を行っていく2ステップ型のアプローチを両輪で回すことができると営業活動を効果的に進められます。
「今すぐ客」をフォローすることは当然実施したいものですが、一発勝負であり、反応数を得にくく、熾烈な争いもでてくるでしょう。「今すぐ客」しか追いにくく、その他多くを占める「潜在客」を獲得しにくい体制で進めてしまうと毎月莫大な広告費をかけることになってしまうかもしれません。
また、セミナーや展示会での名刺獲得ができても、その後のプロセスがないので、その場の一発勝負になりやすく、関係性を築きにくいというのが多くの会社の課題にもなっています。
ですから、上位3%の購入意欲のある「今すぐ客」を獲得しようと戦うだけではなく、97%の「潜在客」層に注視して今後の見込みになり得る顧客を取り逃がさないよう施策を組むことが求められます(★図)。多くの中小企業がこのチャンスに気付いていない、あるいはその対応策が分からない、実施できていないというのが現状です。
★図:売上に直結する見込み客ピラミッド
②2つの商品の考え方を取り入れ、集中して集客/受注活動を実施
セールスプロセスの中に、目的が大きく異なる2つの商品を念頭に置くと効果的なアプローチができます。
・顧客を獲得するための商品
・利益を獲得するための商品
★図:セールスプロセスを変える2つの商品
分かりやすい例として通販サイトで考えると全体像がイメージしやすくなります(★図参照)。初回の商品で興味を持つ人を引きつけてその後の定期オーダーまでをスムーズに誘導していくような流れです。初回の商品は赤字ですが、ここは見込み顧客を獲得するための必要なコストです。ここから見込み顧客との関係性を作り、本商品の案内を行っていきます。
仮に、高価格帯のコンサルティングサービスを提案したい場合、初回のアプローチで受注するのは非常に難しいでしょう。
多くの時間と労力を費やすことになりますが、前述のように十分なセールスプロセスを組むことができれば見込み顧客を獲得し、受注数を伸ばす施策を実施することができます。
例えば、顧客獲得商品として120分の動画講座+書籍を無料~数千円で提供し、その後期間を設けて段階的にフォローを重ねた上で本商品を提案する方法をとると、効果的な活動を行いやすくなります。最初の顧客獲得商品を何に設定するか、価格帯はどうするのか、どのように案内をするのか、によってもその後の結果は大きく変わります。ここでの判断材料は、いかに見込み顧客の不安悩み課題に寄り添えているかどうかです。初回で注目してもらい、価値を理解してもらいやすい商品を設定することで自社の潜在客=将来の顧客になるかどうかのカギを握っています。このように2つの商品をセールスプロセスに組み込むことでスムーズな営業活動が実現しやすくなります。せっかく接点を作り出せた見込み顧客の取りこぼしをしない仕組みを確立しましょう。
③継続フォローによる見込み顧客との関係性構築
初回のアプローチで見込み顧客にとって価値を理解してもらいやすい商品を手に取ってもらった後のフォロー施策も非常に重要です。メルマガ等は実施しやすい施策ですが、クロージングまでの道筋を十分に設計してスタートするとよいでしょう。日刊、週刊などの定期配信を行い有益な情報やノウハウを提供していきます。受け取り手の“飽き”や“興味薄れ”を防ぐためにオフラインアプローチや動画、イベントなどの企画も実施できると行動喚起にもつながりますし、休眠化していた見込み顧客を呼び起こす可能性も高まります。この辺は緻密なシナリオ設計を要しますが、それだけ成果に直結しやすい施策になります。
◇①②③具体的TODO◇
・見込み顧客を集めるための魅力オファーコンテンツを用意する
例えば、「書籍」や「DVD」「動画」を最初の切り口としてプレゼントする。これらの告知を行うためにランディングページを作成したり動画での訴求も検討できる。他社とは異なるアプローチの方法で、潜在客の注意を引ける施策が実現できると良い。
WEBセミナー×ステップメール制作も効果的な顧客フォローにつながる。
・2つの異なる商品をセールスプロセスの切り口として大きく活用する
・見込み客との関係性を切らさない日刊○○をスタートする
・見込み客へ、自動フォローと手動フォローを組み合わせる
■セールスプロセスを再設計しよう
2ステップアプローチに変えることで、見込み顧客視点の営業活動が確立できるようになります。価値を理解されやすい、手に取ってもらいやすい商品を設定することができれば見込み顧客との接点を生み出す強力な起爆剤にできます。それはつまり、「今すぐ客」以外の「潜在客」にもアプローチもでき、長期的な関係性を作ることができるわけです。日刊メルマガや動画、自社コンテンツサイトを立ち上げ、情報コンテンツ型の活動をスタート。地道ではありますが、小さな積み重ねが親近感や信頼感を生み出すことに貢献します。
さらに、継続アプローチできる流れができれば新規顧客獲得のためのコストを削減しても『営業ができる状態』を生み出します。濃い見込み顧客のみに的を絞り、広告費の無駄を防ぎます。将来的に、新規<見込み顧客との関係性構築のための投資に集中し確度の高い活動が実現できるようになるでしょう。
■まとめ■
細かく解説すると難しく見えるが、実施することは非常にシンプル
★ピンポイントに狙える顧客層を広げる
★2つの商品を設定し、最初の接点を作りやすい⇒反応を得やすいセールスプロセスを作る
★継続/長期的にフォローできる体制で見込み客との関係性/信頼性を生む
この3つを念頭に『営業の設計図』を書き換え、成果に直結する営業活動を実施しましょう。