新規見込み顧客を購入まで動かす「セールスシナリオ」の作り方

前回は効果的なセミナー集客術として前・当日・後のタスクを分解して解説しました。この考え方は自社製品が有形無形に関わらず多くの業界業種で活用できる秘策になりますので先ずは1回目を実施してみる、トライしてみることをオススメします。今回はこのセミナー集客ノウハウをより深堀りしつつ、展示会やリアルイベントと組み合わせた成果事例を交えてお話していきます。

■なぜ売上に直結できないのか?

既に日本全国至る所で新規見込み顧客を集めるためのセミナーが開催されていますが、非常に多くの中小企業で常に課題となっているのが、

・セミナーへの集客がうまくいかない

・セミナーに参加してもらっても興味関心を引き出せない

上記2点の要因から、結果的に受注/売上に結び付かない

ということが挙げられます。

 

セミナー実施自体は新規見込み顧客を集める素晴らしい施策であり、前号でも解説した、セミナー前・当日・後のタスクを十分に詰めて準備を行えば成果に直結できる可能性は高まります。

今号ではそのセミナー自体の内容の作り方・構成についてさらに知識を深めてもらいます。

 

ただ単純に商品やサービスの説明をすればいいわけではなく、最終的に参加者がセミナー内容を聞いて、次のアクション(申込などの行動)をスムーズに起こさせるような仕掛け=構成を作ることが非常に重要になるというわけです。聞いて満足、で終わるのではなく、その先の行動を引き出すセミナーを作ることが大切です。

■<具体事例>見込み顧客をその場で動かすセミナー構成の作り方

この章では実際に使用して成果の出たトークスクリプトを紹介しながら、セミナー構成の作り方について習得頂きます。

この事例は展示会のブース内でミニセミナーを開催した際の構成プログラムです。ただ良い話を聞いてもらって終わり、ではなく、見込み顧客になり得る人を最初に分別するような仕掛けから始まり、本当に現状の課題悩みを解決したい人だけがブースに立ち止まって最後のクロージング部分まで熱心に聞き、次のアクション=申込までを直結させたものです。

まずはこの流れをご覧ください。

 

◇見込み顧客から興味関心を引き出すセミナー基本構成◇

シチュエーション:展示会のブース内にてミニセミナーを開催(※ブースの構成は図①を参照。)

実施したこと:15分間ミニセミナーを時間を空けて複数回実施し、最初から最後まで立ち止まって参加した来場者の中から更に詳細を知りたいと手を挙げて頂いた方のみ名刺交換を行った。

どの位の変化があったか:前回比で名刺獲得数は3倍。さらに、セミナーへの興味関心を持ち、さらに自ら名刺交換をしたい方のみに絞ることができたのでその後の商談がスムーズに進んだ。受注金額は前回比で6倍以上に変化。以降、リピート顧客数を持続して増やしている。

 

ミニセミナー構成サンプル セミナー時間:15分想定

4部構成 1部(3分)2部(6分)3部(3分)4部(3分)

 

<決め手はこの4部構成>

《導入+特典予告》

《問題提起》

《原因追究・解決策提示》

《クロージング・特典配布(名刺交換)》

 

1部(3分)《導入+特典予告》

一番初めに見込み顧客の注意を引く、すぐに欲しいと思えるような特典予告の案内をする。

 

トークスクリプト・文章例)

このセミナーでは○○○についてお話します。あなたも今、○○○に関するお悩み、不安を抱えているでしょう。そこで私たちはこれらについて独自のデータをまとめ、これを解決に導くためのポイントを3つ見つけることができました。簡単な3つのポイントですので、あなたにも今すぐ、明日から実践できるものです。

 

トークスクリプト・文章例)

もしあなたがこのミニセミナーを最後までお聞き頂けるならば、ここでしかお配りをしていない限定特典を無料でプレゼントします。ですので、ぜひ楽しみながらこちらセミナーをお聞きください。

 

2部(6分)《問題提起》

1部で予告したことの詳細を話す。ポイントを3つ程に絞り、それぞれのトピックスについて解説していく。

 

トークスクリプト・文章例)

それでは本題に入っていきましょう。なぜ、あなたの○○○という悩みは解決できないのか?その理由を弊社独自で調査をしてみました。ここからある3つのポイントが浮かび上がってきました。それが・・・こちらです。

(ポイント1の解説)

(ポイント2の解説)

(ポイント3の解説)

 

3部(3分)《原因追究・解決策提示》

2部で挙げた課題に対して具体的に、見込み顧客の不安悩みをクリアにする方法や対応策を語る。

 

トークスクリプト・文章例)

つまり、、、今あなたが抱えている○○○の不安悩みの原因は▽▽▽▽(まとめ)にあるのです。ですから、ここに気づいて頂き、ほんの少しだけの改善を行うだけで見違えるほどの成果結果を得ることができるようになります。

 

4部(3分)《クロージング・特典配布(名刺交換)》

1部の最初にお約束した、見込み顧客が喉から手が出るほど欲しいもの(見込み客が悩んでいるものを解決できるもの、

見込み顧客が欲しがっているもの、解決方法、情報、ノウハウ、アイデア、お試しサービス等)を名刺交換と引き換えに無料特典としてプレゼントする。

 

または、もっと詳しい情報をお聞きになりたい方は、別日に設定した特別セミナー、個別相談会などに優先招待をする

参加権をお渡しする。この特別セミナーでお話する内容はより細かく、濃い内容でありことを説明して、参加意欲を促す。

 

トークスクリプト・文章例)

ここまでミニセミナーをお聞き頂きましてありがとうございました。それではセミナー冒頭であなたにお約束させて頂きましたこの「展示会限定特典のプレゼント」をお渡し致します。今回は2つの特典をご用意しており、1つ目は本日お渡しさせて頂きます。

2つ目の特典は非常にボリュームのある内容となっておりますので、後日郵送もしくは、動画コンテンツとしてまとめてお渡ししたいと思います。こちらも成功事例をまとめているものですのでこちらを見るだけでも成果を上げる、

お悩みを解消頂くことができるでしょう。この2つの特典をご希望される方は、名刺交換と引き換えにお渡しさせて頂きます。

 

トークスクリプト・文章例)

もし、あなたがこのミニセミナーをより詳しい内容として知りたいとお思いでしたらもう少し長い時間で実施する特別セミナーにあなたを優先的にご招待したいと思います。この特別セミナーでは今までに◇◇名以上の方々にご参加頂き、評価を頂いております。ですので、ご希望される方は・・・etc

 

<なぜこの4部構成がいいのか?>

それは、この構成ストーリーを作ることで、見込み顧客になり得る方々のフィルタリングを自然にすることができるからです。

◆見込み顧客になり得る方々が普段から抱えている悩み不安に沿ったテーマか。

→→→悩んでいる、不安に感じている人は興味を引く。

◆内容を聞いてみる。

→→→自分に関係がありそうだったら最後まで足を止めたり、座って聞く。

 ◆特典や今後の提案について聞いてみる。

→→→名刺交換<特典が欲しい (現状の不安悩みを解消したい感情が強い)

このように、3つのフィルタリングを通して得られる名刺は既に非常に濃い見込み客になり得る方々になるということです。

ここで気付いて頂きたいことは、こちらからプッシュ型に名刺交換をするわけではなく、来場者の方々が、(自分には必要な情報だ!)という感情のもと、自ら積極的に名刺交換している、ということです。

 

もちろん今すぐの顧客ということではありませんが、ここで名刺を頂ける方、企業は何らかの形でどうにかして現状の問題課題を解決したいと考えているわけです。

展示会等を利用した見込み顧客と対面できるイベントを実施するにはこの構成に基づいたセミナーを開催すると非常に可能性のある、有意義な提案や営業活動が実現しやすくなります。是非、施策アイデアとして貴社でも実施してみましょう。

■セミナーを見せる

<展示会等の対面での見せ方>(図①)

<WEB上での見せ方>(図②)

前号でも解説したように、当日のセミナーは撮影して編集し、ランディングページに落とし込んで再利用できるよう準備をしておきましょう。これは展示会のフォロー施策で使えるだけでなく、今後のWEB施策においても横展開ができる有効手段を増やすことができます。

■小さなアクションを見逃さない

展示会や対面セミナーイベント、WEB上でのオンラインセミナーを見込み顧客に見てもらったその後の行動分析を確実に行いましょう。例えば、

[リアルセミナーなら]

・参加した人

・参加希望を出したけど当日来なかった人

・参加したけど次のステップ(特典を獲得しなかった)に進まなかった人

・参加して次の行動(特典の申込・問合せ)もした人

 

[WEBセミナーなら]

・セミナー視聴用のメールを開封しただけの人

・開封してクリックしたが、数分見て閉じてしまった人

・最後まで視聴したが、次のステップ(特典獲得や申込)まで進まなかった人

・特典獲得、申込まで進んだ人

 

このように、それぞれの見込み顧客がどのステータスなのかを調査し、各々の状況に合わせたフォローを行います。動画セミナーを視聴してもらった後、どのようなプロセスでクロージング、セールスにつなげていくか。ここには多数のアイデアを検討することができます。

例えば、日刊メルマガを少しパワーアップした形の日刊動画版メルマガを配信し、5分ほどの動画コンテンツを定期的に発信することで親近感を持ってもらいやすくなり、見込み顧客との関係性をより深く育むこともできます。相手にこちらの話をきいてもらえる体制作りも重要なポイントになるでしょう。

ステップメールを生かす施策であれば、メールの開封や文章内に組み込まれたURLのクリック行動によってストーリーの分岐点を作り、見込み顧客の行動履歴によって細かなルートを設計することもできます。

あるいは、メールの開封やクリック行動が落ちてくる傾向にある場合は、アプローチするメディアを変えることも検討できます。アナログ施策に切り替え郵送DMからメッセージを届けても良いでしょう。

■まとめ:細かな分析がセールス強化に大きく繋がる

あらゆるメディアを組み合わせながら見込み顧客の小さな行動(1クリックでも)を見逃さない仕掛けを凝らすこと、そしてその積み重ねの連続が、あなたの会社に利益をもたらすことになるのです。反対に、唐突にセールスや商談を行うのは逆効果で機会損失につながることもあります。ここは綿密な作戦が必要にもなり、貴社の将来を担う「社内マーケター」の育成に大きくつながるでしょう。今回あなたに共有した様々なアイデアを社内施策に生かしてみてください。

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