考え方ひとつで売上成果に直結!半期で年間ノルマ達成した方法

前回はテレアポの考え方を変えることで、訪問アポを倍増させたアイデアを公開しました。実際に、アイデアひとつで営業活動は大きく変えることができます。今回は、時間がない…予算がない…スタッフがいない…特別なスキルもない…という状態から、ある仕掛けを作ったことで見違えるほどの成果を生み出した事例を細かく解説していきましょう。

■半期で年間ノルマを達成した方法

B社は東京都にある精密機器メーカーで、営業部のスタッフは2名と少数精鋭で事業活動に取り組んでいます。ただし、内1名は他の業務を兼務しているので、実質、1名のみで営業活動を行っています。

ところが、この1名の営業スタッフも営業活動だけに専念できる状態ではなく、彼の1日のスケジュールを覗いてみると、約半分は機器のメンテナンスや修理対応などのトラブル対処に追われており、なかなか集中して営業活動に取り組むことができない状態でした。

B社で取り扱っている製品は精密機器でもあり、説明書を読んで利用しても、使用状況や環境によって予期せぬエラーが発生してしまうこともあります。一部、代理店経由での販売もしており、いくつかの予測できる対応は可能ですが、専門技術を要する製品ということから、短時間で対処することが難しい場合も多々あります。そうなるとB社の顧客も代理店も自社では解決することができず、全国各地から全ての問い合わせが集まってくるということで、唯一の専属営業スタッフである彼も自身の業務の進め方に限界を感じていました。

そういった状況の中でも、会社から営業ノルマは設定され、製品の特性上、頻繁にリピート受注が望める商品ではないために常に新規開拓を求められており、テレアポの時間を毎日の業務に取り入れようと意気込んでも、突然の修理連絡が入れば、スケジュール通りには物事が進まず途中断念。地方出張も当然のようにありますし、現地でのメンテナンス対応や指導、製品説明会なども合わせれば、ほぼ、落ち着いて考える余裕もありません。移動時間の合間や、数十分の隙間時間に慌ててテレアポやメールを打ち、新規商談を入れようと最大限の努力をしている…というところです。

運よくアポイントを取得できても、購入する気のない商談を組んでしまったり、世間話をして終わってしまうケースも多々。結局、有意義な時間を全く確保できず、実りのある新規商談はほとんど出来ないままの状態でした。

さらに、B社での当初の考え方は、「広告を出すなんてリスクが大きい」「足で動いて新規開拓を行うことが優先」、ということで、組める予算も限られおり、広告費を取得することも困難で、まさに八方塞がりの状況でした。新規営業を行う時間がない…営業方法がない…スタッフがいない…営業スキルがない…。これぞナイナイ尽くしの状態!です。

"会社唯一の営業マン"である彼は、1人で一事業の活動を回していかなければならない状況であるため、いかにして効率よく時間をかけずに、購入意欲のある見込み顧客と対面するか?を常に考えていました。

■営業を変えたエスカレーター戦略

その中で新しく生み出されたアイデアが、名付けて「エスカレーター戦略」です(図①)。エスカレーターのように自然と流れつつ、見込み顧客との関係性を構築しながら、だんだんとステップアップして興味関心を持ってもらい、やがて自社製品にも反応を示してもらえるような…仕組み。同じような悩みを抱えた見込み顧客を半自動的に集め、その中から本当に購入意欲のある方だけをピックアップして対面商談に結びつけることができる仕組みを作れば、無駄なく営業活動が進められる…と。

そこでB社では今までの根本の考え方を見直し、この5つのポイントに集中して施策を実行してみることにしました。

すると、どうでしょう。結果からお伝えすると、この施策を実行したことで、最初のプロジェクトで2000万円の売上を獲得することができました。リピート受注ではなく、新規取引としてです。これはB社にとって過去前例のない非常に大きな成功となり、ここから自社の営業活動は大きく変化していきました。注目頂きたいことは、莫大な広告費をかけたわけでもなく、新しい営業スタッフを採用したわけでもありません。それでは、この大きな成果を得ることができた5つのポイントを凝縮して解説していきましょう。

■この5つのポイントに集中しよう

「エスカレーター戦略」を成功させた5つのポイント

1.基本コンタクトのツールをメールに

2.社内リストを有効活用

3.【重要】"売り込みしない"ステップメールを設計

4.営業以外の他スタッフもフォロー対応可能

5.相手の小さなアクションを見逃さない工夫

図①

1.基本コンタクトのツールをメールに

B社では恒常的に課題となっていた専属の営業部隊を組めず新規開拓を行う時間を確保できませんでした。そこで新規開拓の方法を大きく変えて、テレアポ等、先方のタイミングや時間に制限があるもの、時間を要するものは行わず、メールでのコンタクトを中心の施策に置くことにしました。

 

2.社内リストを有効活用

B社では毎年2回ほど専門業界の展示会へ出展をしていたので、社内には多数の名刺が集まっていました。これらの名刺も出展直後は訪問アポの連絡を取ろうとしていたものの、多くの名刺は利用されることなく、休眠状態のままでした。これは勿体ないということで、展示会などで集めた名刺リストや日々の活動で獲得していた顧客リストを全て整理し、見込み顧客になり得るかどうかをチェックすることにしました。

 

3."売り込みしない"ステップメールを設計

5つのポイントの中でこの項目が一番重要です。見込み顧客リストの整理ができたら、お伝えしたい内容をまとめ、ストーリー立てて設計図を組み立てていきます。B社では、興味関心を引けるような、15回のステップメールを作成し、忘れられない関係性を構築できるよう、親しみやすいメール内容を書くことを心がけました。B社の製品は専門技術の知識を要するものなので、まずは製品の説明ではなく、見込み顧客が主役となる悩みや課題に沿ったテーマで作成していきます。この際、"売り込み・セールス″はせずに、見込み顧客の悩みや課題を解決に導けるようなコラムを数多く提供することが非常に大切です。

 

4.他スタッフもフォロー対応可能

これは会社唯一の営業スタッフにとっても大きな利点になりました。それは見込み顧客へは予め作成/設定したステップメールが自動的に稼働している状態なため、"彼が対応しなくても他スタッフに任せられる"というポイントです。予めメール文章やコンテンツを現在進行形で提供しているので、その過程の中で、誰が対応しても興味を持っていただける見込み顧客からの反応を随時得ることができます。そうすると専属の営業スタッフが外出や出張でいなくとも他のスタッフが見込み顧客の状態や受注確度をチェックすることができるようになります。

この施策は、結果的には営業部だけではなく、会社全体にも「活動の見える化」が進み、社内のバックアップ体制にもつながるようになりました。営業スタッフが課題を1人で抱え込まず、0から対応しなくとも会社スタッフ全員で状況をシェアしながら間接的に社員全員が活動に関わっていけるということですね。

 

5.相手の小さなアクションを見逃さない工夫

B社ではステップメールを15回分の構成で作成していますが、それぞれのメールには、「リンク先」を必ず入れるようにしました。メールマガジンは長文になると最後までじっくり読まれにくくなるので、比較的短文でまとめ、「この詳細が気になる方はこちらをクリック」というように、メールで伝えたい要点だけを作成して、自社ブログサイトや動画コンテンツ、PDFレポートへの

導線を作りました。これを行うことで、メールを読んでもらえる人、更に細かい情報を知りたい人を分けて計測できます。

・メールを開いてブログ記事や動画コンテンツを見に行く方が誰なのか?

・頻繁に詳細内容を見てくれる人はどの企業のどんな人なのか?

・どんな情報を求めているか?どんなメールが読まれやすいか?

これらはステップメールを組むことによって数値化、見える化ができます。

受取り手にとっては1回クリック(スマホであればタップ)のみですが、このデータは自社にとって貴重な営業情報になります。

アクション率の高い方は自社の濃い見込み顧客になりやすいことが予測できるため、集中して個別対応を行うこともできるようになります。これは、見込み顧客の小さなアクションが今後の営業活動を大きく改善する鍵を握っていると言っても過言ではないということです。

■事例:売上利益につなげた設計図

ではステップメールはどのように組めば成果の出る営業施策を実行することができるのか?シンプルな設計図(図②)と見込み顧客を「動かす」動画構成の考え方(図③)をまとめましたのでこちらをご覧ください。

図②

図③

これらの施策を行うことでどう変わったのか?B社では15回のステップメールを予め設計して各々のメールや動画コンテンツ、PDFでの特別レポートを提供していきました。この施策でのB社のゴールは「対面型の説明会」に参加してもらうこと。本当に悩んでいる真の見込み顧客のみを集めて個別対応も加えたセミナーを開催しました。するとどうでしょう。このセミナーは先着10名を募集していたのですが、いざ募集をスタートすると、当日中に席が埋まり、申込人数が溢れてしまいました。そこで急きょ、セミナー会場を変更し、結果的には当初の2倍の20名の参加となりました。

さらに驚くべきことが、参加人数の倍増だけではなく、売上利益へ短時間で直結することになりました。セミナー自体は3時間の講義で、最後にクロージングの時間として製品の細かな説明を15分程設けたのですが、当日中の発注だけでも1200万円、1週間以内には合計2000万円の売上を獲得することに成功したのです。この3時間セミナーを行ったことを大きなきっかけに、後に前期6カ月時点で、今期1年分の営業ノルマを達成してしまいました。これは驚くべき成果です。

■自動化できる仕組み作りを目指す

このように営業活動の一部を自動化する仕組みを作ればレバレッジをかけることができます。今回はステップメールをベースに、PDFレポートやブログサイト、動画コンテンツを掛け合わせながら見込み顧客との関係性を育む仕組みを形にすることができました。これは一度作れば、何度も活用でき、たとえ営業スタッフが少ない人数でも大きな成果を現実的に得られるようになります。是非、あなたの会社でも活用してみてください。尚、もし、ここで紹介した仕組みを自社でも作りたいとお考えの経営者の方、営業部の方は、私までお問い合わせください。可能な限りアイデアをお渡し致します。

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